Interview: Manjuu
5年前、一回かの有名な「That Pool」に入ってドール写真を撮らせてもらったことがあり、その時にドールを水着を着せました。せっかく「That Pool」で撮った写真ですが、水着のよさをどうやって出すかと思った結果、Photoshopで関節を消し、さらに身体が人間っぽく筋肉を増やしました。
5年前、一回かの有名な「That Pool」に入ってドール写真を撮らせてもらったことがあり、その時にドールを水着を着せました。せっかく「That Pool」で撮った写真ですが、水着のよさをどうやって出すかと思った結果、Photoshopで関節を消し、さらに身体が人間っぽく筋肉を増やしました。
ドール集めと撮影を始めたのはいつですか?始めたときどんな感じでしたか?どのようなドールを中心にしていますか?フィギュアやねんどろいども集めてますか?
ドールに興味を持ったのは2004年頃です。当時は学生だったので、まずは1/6サイズのドールを目標にお金を貯めました。今みたいに可愛いアニメチックのドールを簡単に買える環境がなかったので、日本旅行の際ボークス秋葉原店で1/6植毛済みヘッドと「EB-Beauty MIDI」ボディを買いました。もちろんメイクなど全然できなくて、プリンターでアイと眉毛を作ってヘッドに貼っただけでした。それから2005年アゾンから「えっくすきゅーと」シリーズを発売すると買い集めて、Mama Chapp Toyの「ちっちゃなもこちゃん」も買いました。
1/6ドールをしばらく集め続けて2007年からボークスの「ドルフィードリーム」(以下DDと称する)が発売して1/3サイズドールの世界に入りました。1/6サイズのドールは小物を集めやすくて撮影用背景を自分で作りましたが今はDDと「ミニドルフィードリーム」(以下MDDと称する)の撮影がメインです。1/6サイズの撮影も結構しましたよ。
フィギュアとねんどろは好きですよ。実は今の仕事もそれに関わっています。でも集めて気づいたです。自分が住んでいる部屋だとフィギュアを置くスペースは残念ながらないです。でもドールならお洋服を着替えるし、ポージングも自由にできる。だからドール趣味に集中しています。ドールと色んな所に行くのが楽しみになっています。例えば下の写真は、今はもう存在しないゲームセンターでした。内装は香港の九龍城に似せているので格闘ゲームっぽい構図をやってみました。
撮影の設定はどうやって考えていますか?どのような結果を目指していますか?
撮影にまず一番念頭に置いているのは、ドールをドールらしくない見せることです。もちろん、見た目はドールというのは分かっています。しかし部屋のコレクションや飾りではなく、人間っぽいところです。如何に本当にそこに彼女が生きているのを見せたいです。
そうなると、ドールのスケールと比べておかしくない構造物や花を構図に入れるとか、場所の選定から、ポージングのセッティング、髪の毛や服の翻し方、後で詳しい話しますがレタッチも含めてその目標を達成させるために一つ一つ頭で考えます。
自分の場合は野外撮影が多いので野外撮影を例にします。まずインスピレーションかイラストから構図のヒントを得ることが多いです。歩道橋の上で撮りたいとか、氷の上で撮りたいとか簡単な発想で大丈夫です。あとはグーグルマップのストリートビューで現場の雰囲気を把握して、ポージングと使うべき小物を考えておきます。
現場では、やはり若干事前と予想した構図とは違います。地面にドールを置いて撮るのでカメラも地面に近い場所に置くことが多いですが、ストリートビューは人間が立っている高さで撮影したものなので、地面から見る風景とは違います。さらにドールを予定通りのポージングで撮っても背景と合わないことはよくあるので、ある程度自分のアイデアを再構成する必要があります。セッティングはすごく時間掛かります。
さらに、風でせっかく立たせたドールが倒れたり、いきなりの雨で濡れたり、夕焼けで撮りたいが日が落ちるのが早すぎてライティングのセットが追いつかないとか……自然は我々の味方であり、敵でもあります。自分は結構野外撮影で失敗します。成功率はおおよそ60%くらいです。上手く撮れない時は、自分の足りない部分を反省して、次に活かします。交通費とかせっかくの休日を無駄にしたとか、ちょっと考えてしまうですけどね(笑)でも野外撮影はやはり好きです。アイデア次第で生き生きする作品を作ることができますので。
最後はパソコンで写真をレタッチすることです。自分が考えた「どうすれば人間っぽく見えるのか」に近づくために仕上げます。
ドール集めと撮影という趣味は日本でどのように思われていますか?写真で関節が全然見えないことに気づいたんですけど、それはどうやって編集していますか?
ドール集めと撮影、日本ではちょっと難しい立場になると思いますね。私は普通の成人男性ですが、成人男性がデカいバービー人形を持っているのは変、と思われます。でも日本では「オタク」が多いので、フィギュアで遊ぶみたいな感覚と説明すればみんな理解してくれます。ツイッターではその「オタク」の方々からよく「ドールなのに人間っぽい」「関節がないのはどうやって?」の評価を頂いてます。非常に嬉しいです。
関節を消す理由としては、もっと人間っぽく見せたいからです。やり方は基本、Photoshopで消してます。もちろんドールは元々関節をもつもので、それを消すのはドールのアイデンティティーを消すようなものです。しかし、DDなどの美少女人形は、服の布地の厚さを考慮して元々痩せ気味を作られており、可動範囲を増やすために関節周辺の造形も若干凹んであります。もちろん、それでも身体のフォルムが美しく作られていると思いますが。
5年前、一回かの有名な「That Pool」に入ってドール写真を撮らせてもらったことがあり、その時にドールを水着を着せました。せっかく「That Pool」で撮った写真ですが、水着のよさをどうやって出すかと思った結果、Photoshopで関節を消し、さらに身体が人間っぽく筋肉を増やしました。手間はかけるですが、自分の中ではそれで満足していますので、その後大体ドールの関節を消してます。
関節レタッチのやり方を簡単に紹介します。これが元の写真です。
1.まずはスポット修復ブラシシールで関節を消します。
2.変形したい所だけを別レイヤーにして、変形ツールで筋肉の形を作ります。
3.形を想像してハイライト、シャドーを入れて完成です。
一つ注意しなければならないのは、あまりにも人間そのものに近づくと逆に不気味なので、適当に手を抜いています。基本DDの顔はアニメーションっぽいので、好きなアニメーションガール体形にアレンジしてもいいです。その……知っているでしょ。胸とか……。
今まで撮った中で一番お気に入りの写真は?そして一番難しかった撮影は?
ほかの方はそうなのかどうか分からないですが、自分が好きな作品と他人に評価された作品は結構違いますよ。一番好きな写真は長崎県の池島という島で撮った写真です。私は廃墟も好きです。池島は炭鉱で栄えた島で、炭鉱が採掘終わった後人口が減って、炭鉱施設や無人の団地だけが残っている島です。それでも住民はいて炭鉱施設が管理されていますが、今は寂れています。一応ルールに従えば観光ができるので、その中で収めた一枚でした。
一番難しい撮影というなら結構悩みます。真冬か真夏の中での撮影、強風か濃霧、旅行の疲れによる体調不良、アクセスしにくい撮影スポット…物理的な難しさはとりあえず置いときます。
今も試行錯誤していますが、遠近法による撮影でドールを等身大に見せる撮影が難しいです。ドールが景色に溶け込んで違和感がなければ撮影の幅も広がります。
ドール撮影のためにどんなカメラとレンズを使っていますか?
私はエントリーモデルのSONYα7IIを使っています。レンズはSony FE 28mm F2、そのレンズにつけるフィッシュアイコンバーターレンズSony SEL057FEC。どちらも平均的な描写で、背負っても軽くて身体に負担をかけないように選んでいます。
もちろん広角だけでは足りないので、標準レンズはSony SEL50F14Zを使っています。さらに一本CANON EF70-200mm F4L IS USMがあり、こちらはアダプターをつけて使っています。
ドール集めと撮影を始めようか考えている人に何をおすすめしますか?何かおすすめのカメラや機材がありますか?
ドール撮影は結構人それぞれですね。綺麗に撮影するのはいくつかの方法があるですが、もちろん一眼レフは一つの正解だと思います。一眼レフもいろいろありますが、フルサイズ機を優先してください。そして、野外でドールを地面に置いて撮影するであれば、カメラも地面近くに置くことが多いので、ファインダーは覗きにくいです。CANONのRシリーズにバリアングル液晶があるので、しゃがみながらもカメラの液晶が見れるので強いです。もしくは、WIFI機能でタブレット端末とカメラに繋いでタブレットを見ながら撮影するのもいいでしょう。結構楽になれますよ。
レンズに関しては、ズームレンズでも単焦点レンズでもいいです。一般的に画質は単焦点レンズが良いとされていますが、実際ツイッターとかにアップロードするだけならそこまで差がありません。予算に合わせて選んで、慣れたら高級レンズに変えるにもいいでしょう。
ほかの機材に関しては、ストロボとトリガーが必要になります。私の使い方だとストロボは常に2台持ち歩いています。一灯は身体の側面か背面から照らして身体の立体感を作り、もう一灯は正面斜め上から照らして顔など身体の正面を照らします。私のトリガーはシャッターボタンがついており、無線コントロールで遠距離からカメラのシャッターを切らせることができます。それをストロボをセットすれば、実際ストロボ側からシャッターを押すことになります。そうなると一旦ドールがセッティング終了すれば、あとはカメラを離してストロボとともに行動して、好きな角度でストロボを照らすことができます。いろんな角度からストロボを当てて何枚か撮ってみて、後はカメラに戻って成果を確認すれば大丈夫です。
今までドール撮影での一番大きな功績とかは何だと思いますか?
功績というのはあまりないと思いますが、レタッチにより関節消しに関しては最近賛同者が増え、私以外でもレタッチでドールの関節を消したり、筋肉作りをする方がいらっしゃることですね。ある程度自分の考え方が認められていることになるので嬉しいです。
今後何か計画中のドール企画がありますか?
ドールに合う、1/3の撮影用背景を今作っています。来年には出来上がるのでそれを使っていろいろ写真が撮れると思います。もちろん野外で撮るのは楽しいですが、家で撮れるのが一番楽ですから。近い目標だとすると友人にTom Clancy’s The Divisionの1/3ドール装備を作ってもらっているので、それが出来たらうちのドールはエージェントになりますので楽しみにしています。
ドール撮影以外でどんな趣味がお持ちですか?
インドアだとゲームです。さっき言った「The Division」とかはやります。レトロゲームも好きで、未だにPS2とかDreamcastをやります!あと鉄道も好きなので、Nゲージの鉄道模型も集めてます。日本はこれらを楽しむのに十二分過ぎるのリソースがあるので楽しいです。
アウトドアなら廃墟探索ですね。ただ危ない所は行きません。できればドール撮影もしたいのでなるべく美しくて行きやすい所に行きます。廃工場が大好きです。
一番好きなアニメとアニメキャラは?
2013年放送の「きんいろモザイク」が一番好きです。美少女達が送る日常生活でアクションは全然ないアニメですが、リラックスして見れるので好きです。主人公は日本に留学してくる「アリス・カータレット」ちゃんですが、当時は自分も留学生として日本に来ているので、大好きです。好きすぎてドールで彼女を再現しました。