ジョニー監督

ジョニー監督氏は、日本を拠点に活動する写真家であり、旅、風景、そしてドールと自身を写したセルフポートレートを組み合わせた作品を制作しています。彼の写真は、人の存在、環境、そして「共に旅をする存在」との関係性を探求しており、日本各地の山岳地帯や人里離れた場所を舞台に展開されています。

 作品の中で、帽子やウエスタン調のスタイリングなど、繰り返し登場する要素が印象的です。このようなビジュアルスタイルはどのようにして生まれたのでしょうか?

ウエスタンスタイルについては学生の頃に好きだった西部劇の影響からですね。20年ほど普段から私服としてウエスタンスタイルで生きてます。ドールのお洋服も最初の頃はフリルの可愛らしいドレス等を着せていたのですが、セルフで一緒に撮るようになってからお揃いのコーデをするようになりました。

ドールを撮影に取り入れるようになったきっかけは何でしょうか?また、現在の作品においてドールはどのような役割を担っているとお考えですか?

元々旅が好きで日本国内の各地で風景の写真を撮っていたのですが、写真の中にもうワンアクセント欲しいと思いドールの撮影を始めました。

妻がドールのヘッドメイクを手掛けていたのでわたしの好みを取り入れたオリジナルドールを作製してくれました。名前は日本の春に咲く桜の花を連想して「春花」と名付けました。

妻はインドア派でわたしの旅にはあまり積極的に着いてきてはくれませんが、代わりに春花と旅をすることが多いです。共に色んな所に行ったので今となっては旅の相棒です。

旅や風景、そしてドールとご自身を写したセルフポートレートを組み合わせた現在のスタイルは、どのように発展してきたのでしょうか?

上記に記載した通り元々風景を撮影していてそこにドールを加えての撮影を行なっていました。「ドールが旅をしている」のではなく「ドールと旅をしている」ので必然的に自分もフレームに入るようになりました。

 作品の中で、ご自身の顔がはっきりと写っていなかったり、カメラに背を向けている構図が多いように感じます。これは意図的な表現なのでしょうか?また、そのことはご自身の「存在の見せ方」にどのような影響を与えていますか?

わたし自身もそうですが、ドールもバックショットを多用しています。

その理由としてはわたしが撮影したい景色を背にしているのではなく、その景色を見ていたいから。時に振り返るのは相棒であるドールに思いを馳せているからです。

撮影地には自転車や登山で向かわれることが多いとのことですが、撮影場所はどのように選ばれているのでしょうか?

事前にある程度はGoogleマップ等で目星はつけます。あとは旅の道中でいい景色があれば立ち止まって撮影します。

山頂への道

長野県の北アルプスを3日間にわたって巡る旅。その思い出が嵐や青空、そして一生忘れられない日の出で出来ている。

これまでの撮影の中で、特に印象に残っている場所や旅はありますか?

過酷だった旅は印象に残りやすいですね。

その中でも2泊3日の夏登山の2日目に嵐の中山頂を目指した時です。その日の夜は晴れ星空と翌日の朝日は凄く綺麗でした。

槍ヶ岳への旅

長野県、北アルプスに位置する槍ヶ岳という山になります。山頂から眼下に見えるのは槍ヶ岳山荘です。
この日は上高地から槍沢ルートを通った2泊3日の山行でした。

作品にはご自身とドールの両方が写り込んでいますが、こうしたセルフポートレートはどのようなプロセスで撮影されているのでしょうか?

わたしの場合は撮影ポイントに着いたらファインダー越しにアングルを決めてドールを配置します。

F値は絞りめにしてドールにピントを合わせ、セルフタイマーにて自分も写り込みます。自分の立ち位置は何度かトライし気に入ったものを選んでいます。

 屋外でご自身とドールを一緒に撮影する際に、技術的または実務的に最も難しい点は何でしょうか?また、特に苦労した撮影や場所について、具体的に教えていただけますか?

野外での一番苦労する点は風ですね。

わたしの場合は標高が高い所で撮影する事が多いので特に風の影響を受けやすいです。風もですが、冬なら吹雪や気温の低下も生命に関わるので自然の恐ろしさも併せて実感します。

ただ旅をしていると不意にいい景色に巡り会う事もありますね。

撮影は事前に計画されることが多いですか?それとも、その場の風景や光に応じて柔軟に対応されるのでしょうか?

基本的には事前に準備はします。ただ旅をしていると不意にいい景色に巡り会う事もありますね。そういった時はカメラを構えます。

日本横断

日本という国は縦には長いですが、幅はわずか350㎞程しかありません。この距離ならば自転車でも横断できますね。

という訳で2泊3日掛けて東京湾から日本海まで自転車で旅をしました。この写真は3日目の長野県にて撮影した写真です。

海から海を目指して走っていたのですが、5月でもう随分と暖かい気候にもかかわらず長い距離を移動してると景色だけでなく、地形による寒暖差を体験できるのも旅の醍醐味だと思います。

居場所

冬になると毎年必ずここへ訪れる。

標高2237mの雪原には都会の喧騒は一切なく風の音だけが耳を突く。

本当に冷える時は-15℃を下回ることもある。人間が生きていくには厳しい環境。

そんな環境だからこそ、ここへ来ると生きている事を実感できる。自分が生きている事を確認する為に、毎年必ずここへ訪れる。

陶芸空間 虹の泉

陶芸家・東健次氏が三重県松阪市飯高町の山奥に35年掛けて創り上げた世界。残念ながら東健次氏は2013年に亡くなられ、この作品も未完成となってしまいましたが一般解放もしており今も誰でも訪れる事ができます。

そんな情熱的な作品を自分の目で確かめるべくバイクで片道500㎞走り写真を撮りに行きました。誰でも訪れる事ができると記載しましたがとんでもないない山奥に位置する為辿り着くのには苦労しました。しかし苦労の甲斐もありまるで異世界に迷い込んだような錯覚に陥る程の素晴らしい作品を目の当たりにできました。

この写真はそんな故人の情熱に触れる事ができた旅の一枚です。

平安神宮

総走行距離656㎞、5泊6日掛けて自転車で東京から大阪まで旅をした時に撮影した一枚です。

最終日の京都、平安神宮にて。京都の町には何度か観光で訪れた事はありましたが、この時はじめて自分の脚で踏み入れました。

見た事がある京都の景色も500㎞以上自転車で走って来てから見ると今までとは違った感慨深さがありました。

同じ場所を異なる季節に繰り返し撮影されている作品もありますが、そのような表現に惹かれる理由を教えていただけますか?

一番はその場所の景色が好きだからですね。

日の傾きや季節によって空や木々の色付きも変わってきます。同じ場所でも同じ景色には二度と出会えない。だから同じ場所に何度でも趣きます。

これまでのご自身の作品を振り返って、どのように変化・発展してきたと感じていますか?また、今後どのような作品を制作していきたいとお考えですか?

ドールとセルフポートレートをはじめた頃は旅の手段はバイクでした。

そこから自転車になり、登山を始め雪山に行くようになりバイクでは見られなかった景色に出会う事ができました。

日本国内でも富士山をや北アルプス等の山々に登ってきましたが、まだまだ見た事のない景色が沢山あります。

今後もドールを連れてまだ見ぬ景色を求めて旅を続けたいと思います。

現在使用されている機材について教えてください。また、その機材が撮影スタイルに影響を与えていると感じることはありますか?

10年以上NIKONのD750とD800に広角で軽量なAF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G EDというレンズを使用していました。

空の青さが綺麗に出るのでNIKONを使用していましたが、山に持って行くのに1gでも軽くしたかった為 2026年3月にFUJIFILMの Xh-1に買い替えました。結果として300g以上軽量化する事ができました。

写真の舞台裏

日本北アルプスの山奥に位置するこの写真は、ジョニー・監督氏の現在の写真表現を特徴づける多くの要素を映し出しています。人里離れた風景、肉体的な忍耐力、刻々と変化する天候、そして広大な自然の中に佇む旅人と同行者の静かな存在感、そのすべてがこの一枚に欠かせません。今回の「写真の舞台裏」特集では、作者がこの写真に込められた旅路、準備、そして創作プロセスを詳細に語ります。

 この場所に惹かれた理由、そしてこの写真の撮影地として選ばれた理由を教えてください。

この山に来るのはこの時が2度目でした。はじめて来た時はあまり天候に恵まれなかったのですが、それでも眼前に広がる北アルプス、白馬三山が綺麗だったので必ずまた来たいと思っていました。

この日は2年越しに天候に恵まれた最良の日でした。

この場所にはどのようにして到達されたのでしょうか。また、この写真を撮影するまでにどのような準備や労力が必要でしたか。

北アルプスの唐松岳の登山道から撮影した写真になります。自宅からは車で約4時間、そこから登山道を往復8時間程歩いた場所です。

山の天候は変わりやすく必ずしも晴天が狙える訳ではないのでタイミングを図りリベンジに2年掛かってしまいました。

撮影の瞬間について教えてください。その場の状況や空気感、そして最終的な構図をどのように決定されたのかをお聞かせください。

撮影地自体は前にも訪れた事があったのでイメージはできていました。

実際に三脚を立てて準備に取り掛かっていると晴天だった天候も雲を帯び、焦りを感じたのを覚えています。

風景の中でご自身とドールをどのように配置されていますか。また、そのバランスを考える上で大切にしていることは何でしょうか。

わたしがドールとのセルフポートレートで大切にしている事は風景です。わたしもドールもその風景の一部に過ぎません。背景や空の広がりを邪魔しないように我々は写真の中に佇んでいます。

撮影中に予想外の出来事や困難はありましたか?また、それらは最終的な写真にどのような影響を与えましたか。

天候と風にはいつも悩まされますね。あまりの強風でドールが立たせられない事もしばしばあります。この日はたまたま穏やかで思いの外スムーズに撮影する事ができました。

 完成したこの写真を振り返って、ご自身にとってどのような意味を持つ作品だと感じていますか。

2度訪れた山ではありますが、今度は夏ではなく冬の時期にまた来たいと思いました。同じ山でも冬の方が当然難易度も上がりますが、今までの経験を活かして無理せすチャレンジしたいと思います。

そういった意味では未来へと続く一枚になったと思います。

© Figubo 2026